ワンダーフェスティバル
実行委員会
代表挨拶
文 / 宮脇 修一
株式会社海洋堂 取締役専務
ワンダーフェスティバル実行委員会 代表
Text by Miyawaki Syuichi
ワンダーフェスティバル 2024[夏]のテーマはゴジラ誕生70周年記念
ワンダーフェスティバル(以下「WF」)は1985 年、今から39年前に始まりました。当時の人気キャラクターは『ゴジラ』など東宝特撮作品、『ウルトラマン』など円谷特撮シリーズ、『仮面ライダー』など東映ヒーローものなど、特撮のキャラクターがWFの中心アイテムで、昨今主流の美少女フィギュアやアニメ・ゲームなどのロボットは、ほとんど存在しない状況でした。
'80年代のガレージキットシーンは、それまでTVアニメや特撮番組キャラクターのソフビ人形、プラモデル、その他玩具などの立体製品がことごとく完成度、解像度の低いものばかりであったため、「子供騙し」「幼稚」というしかなく、少年から青年となった特撮ファンから「自分たちが欲しいのはこんなもんじゃない」という不満の声が上がり始め、「自分たちが欲しいものをメーカーが作らないなら、自分たちで作り出そう」という”ガレージキットスピリッツ”のもと、新しいジャンルの造形活動となったのです。
彼らはより精緻な造形作品を作り出したいと強く望んでいましたが、当時の家庭レベルの生産技術は低く、真空/遠心注型とは無縁でした。そのため、怪獣造形の細かい鱗やシワ、角や牙などはうまく成形できず、多くの部分で気泡が発生していました。これらの欠陥を補うために、組立説明書にはポリパテやエポキシパテ、針金、つまようじなどで自作してください、と当たり前のように書かれており、完成までに高い技術と手間暇が求められました。
ワンダーフェスティバル2024[冬]の様子
X-PLUSブースの様子
とはいえ、当時の造形作家たちは既存のものを凌駕する原型を制作し、新しいノウハウを同好の士で惜しみなく共有することで、キット商品としての品質はどんどんあがりました。さらにWFにディーラーとして参加することにより、彼らの「優れたものを生み出そう」とする熱意は、年を追うごとに拡がり、今のWFの盛況へとつながっていきました。
それからおよそ40年経った現在でも、特撮、怪獣造形に対する造形作家の情熱は消える事なく続き、怪獣造形は確立された1ジャンルとしてWFの一翼を担ってきました。そして今開催では、ゴジラを始めとした東宝特撮作品がテーマのイベント内イベント「ゴジラ70周年記念 東宝特撮ワンフェス」を行います。我々主催者の想像をはるかに超える数の作品が集まり、まだまだ特撮キャラクター造形はWFの中で生き続けていくと確信しました。WFに参加される皆さんには、ぜひともこの特撮、怪獣造形が放つパワーを感じて頂きたいと思います。