ワンダーフェスティバル
実行委員会
代表挨拶

文 / 宮脇 修一

株式会社海洋堂 取締役専務
ワンダーフェスティバル実行委員会 代表

Text by Miyawaki Syuichi

 今回「ワンダーフェスティバル2023[夏]」会場に来られた方は、「おや?何か空気が違うぞ?」と感じられることかと思います。3年前のコロナ禍以降、前回開催までは「密」を避けるため、一般ディーラーさんの出展数を減らして場内の通路を広くとった形での開催となっていました。今般、政府の主導で新型コロナウイルスの位置付け、対策が変化したことにより、卓数にして400ほどを増やすことができ、コロナ禍前の状況にほぼほぼ戻す事ができました。しかしながら一般ディーラー参加の申込数も大幅に増加したため、残念ながら落選されたディーラーさんが出る状況までも戻って来たことは心苦しく思います。長らくの間、新型コロナウイルスの影響によって出展を見合わせていたディーラーさんたちが戻られることによって、ワンダーフェスティバルのものづくりの力、造形作家の熱意が戻ってきたことをしっかり感じられることができ、参加いただいている皆さまにはひとえに感謝の気持ちでいっぱいです。

前回の様子

DAICONⅣ当時のポスター(1983年)

 さて、今開催では、「DAICON4」40周年記念コラボ企画を実施します。1983年に大阪で開催された「日本SF大会 DAICON4」はその2年前の「DAICON3」とともにこのワンダーフェスティバルのルーツとなったイベントです。「日本SF大会」は1962年から毎年日本のどこかで開催されるSFファンの集いで、1983年は大阪で4度目に開催された大会は通称「DAICON4」と呼ばれます。その運営の中心メンバーが創業したのがワンダーフェスティバルの創始者であり、海洋堂とともにガレージキットの黎明期を牽引した「ゼネラルプロダクツ」です。また彼らは「DAICON FILM」の名でアマチュアフィルムを制作し、「DAICON4」のために庵野秀明らによって作られたオープニングアニメーションは、今の目で見てもアマチュアの手作りとは思えないハイクオリティなもので、伝説的存在となりました。短期間に多くのアニメ・特撮・人形劇などを制作したDAICON FILMは、その後「新世紀エヴァンゲリオン」生み出すアニメ制作会社ガイナックスの母体となります。
 今回の企画は、その後日本のガレージキットシーンを牽引することになるゼネラルプロダクツや、映像メディアに大きな波紋を起こしたDAICON FILMの功績を検証することによって、現在、そしてワンダーフェスティバル=ものづくりのイベントを今一度しっかりと見直し、これからの指針とすることに主眼を置いています。もちろん、過去を懐かしみ「昔は良かったねぇ」と言っているだけではこれからの発展はありません。現在にも連綿と繋がるガレージキットスピリッツの原点を見ることにより、それらを生み出すエネルギーの検証と再確認を行う意義は大きく、必ずや今後造形を手がけていく方々の糧になると考えています。
 今回は「特定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構」(通称「ATAC」)の全面協力を得ての実施となります。彼らの活動内容は、特撮やアニメに使われたプロップ、画稿、原動画、セル、シナリオ等々の中間制作物を中心に、放置すれば散逸、破棄されてしまう貴重な関連資料を収集し保全、後世に伝えることです。今回DAICON FILMやゼネラルプロダクツに関する資料を展示できたのも、ATACの活動の賜物でした。
 ワンダーフェスティバルに限っても1開催で5,000種近くが生み出される当日版権アイテムの素となるキャラクター、これらがいかにして多くの才能ある人や組織の手によって生み出されていったかという歴史を彼らの資料によって正しく確実に認識し、未来に残すことは、我々がこれからオタク分野の作品と関わっていき、より深く知り、ハイレベルな造型物を作っていくために不可欠でしょう。今回、「DAICON4」に光を当てることによって、我々が日頃ものを作り、自らの手で発信する造形精神=ガレージキットスピリッツとは何か?を改めて問いたいと思います。
 ぜひとも企画展示ブースにお運びいただき、40年を経て現在もなお現役で活躍しているクリエイターたちの志を感じることで、ご自身のものづくりの指針としていただければ幸いです。

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    2023 Summer

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