ワンダーフェスティバル
実行委員会
代表挨拶

文 / 宮脇 修一

株式会社海洋堂 取締役専務
ワンダーフェスティバル実行委員会 代表

Text by Miyawaki Syuichi

大きな変革となるワンダーフェスティバル2024[冬]

 ワンダーフェスティバル(以下「WF」)は2009年より日本最大級のコンベンション会場・幕張メッセにて開催しています。長らく1~3ホールを主にメーカー等企業ブースを集めたエリア、4~8ホールを主に一般のアマチュアブースを集めたエリアとして来ましたが、今開催からは配置を変え、1~6ホールを一般エリア、7・8ホールを企業エリアとしました。実に14年続いて来た「慣習」への大ナタ、変革となります。
 いわゆる「コロナ明け」以降、一般エリアの活気はコロナ禍での抑圧を跳ね返すかのように上昇しており、前開催(2023[夏])は最終的に約1,900組のアマチュアディ―ラーが出展しましたが、今開催はそれを上回る約2,000組が出展予定です。 2023年頃から一般エリアの出品アイテム数、それぞれの生産数は急増、レジンキャストの成形業者さんが軒並み例年より早く受注を締め切る例が見られたのはその裏付けと言えます。アマチュアディーラー急増の要因としては、デジタル造形の急速な普及と、既存キャラクターに頼らないオリジナル作品の台頭が挙げられます。「ZBrush」などのデジタル造形ソフトウェアは、それまで粘土やパテを盛っては削り、最後に磨いて仕上げるという地道で根気を要し、また専用の作業スペースを設けないとなかなか出来なかった旧来のアナログな作業から造形作家を解放しました。さらに、マンガ、イラスト界隈ではずっと以前から普及・定着していたデジタル作画に習熟した絵師たちがそのノウハウを応用して造形にも進出する例が増えました。彼ら彼女らにはいわゆる「版権もの」より自身で創作したオリジナル作品を好んで制作する傾向が強く見受けられます。また、一般参加者として初めて来場される方も増えており、場内でリアルな造形作品やディーラーたちの圧倒的な熱量に刺激を受け「自分でもつくってみたい」と次の開催からディーラーに転身する例も少なくありません。

ワンダーフェスティバル2023[夏]の様子

バンコクで開催された
ワンフェスとGAME SHOWにて、
「LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD」
(生涯功労賞)を受賞

 一方、大小問わずメーカー等企業においては、コロナ禍によってフィギュアを生産する中国の工場の生産力も落ち、船便の手配も難しくなり、円安が追い討ちをかけて中国での生産は非常に厳しいものとなっています。この状況は全体的な価格の上昇と生産量の減少を招き、イベント限定品の企画、生産も困難となりました。多くの企業はWFなどのオフラインイベントから距離をおき、オンライン販売にシフトしていったことから出展企業が減少、出展してもブース面積を縮小する傾向にあります。以前から一般エリアにおいて落選となるディーラーが多かったことは解決すべき課題でしたが、この状況を受けて、実行委員会内で協議と検証を重ねた結果、企業エリアの縮小と一般エリアの拡大に踏み切り、一般エリアの卓数を大幅に増やしました。しかし、それでもアマチュアディーラーの増加に追いつかずまたも抽選となり、落選の憂き目を見た方々には申し訳なく思っています。これは引き続き向き合っていかなければならない課題です。
 先に触れたアマチュアディーラーの隆盛は、日本国内に止まらず海外にも及んでおり、2019年の中国・上海から始まり、北京、バンコクと開催地を増やしてきた海外WFでも見られます。日本のWFは2025年に40周年を迎えますが、WF第一世代の私などもう66歳。周囲のスタッフ、関係者そして参加者にも50~60代の方々が増えてきました。これは長い歴史の証明でもあり、「世界からのWFブランドへの信頼」と「世界への造形の発信力」の根幹であると考えています。自分たちで優れた作品を見出すWFの原点の考え方=ガレージキットスピリッツが海外に伝わり、いま、海外でWFに取り組んでいる若い造形作家をはじめとする参加者たちの向上心の高さとエネルギー。それらは40年前、日本でWFが生まれた頃に確かに見たものであり、進化したかたちで今後のWFにフィードバックされるであろうと予感しているのです。

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